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無断欠勤をする社員にどのように対応すべきか、企業として判断に迷う場面も多いのではないでしょうか。
本記事では、無断欠勤を理由に解雇できるかどうか、また連絡が取れない場合の対処法や注意点について、弁護士が法的観点から解説します。
目次
正当な理由なく一定期間無断欠勤した従業員を解雇した場合、仮に従業員に解雇無効で訴えられても、解雇が無効となるリスクは低いでしょう。もっとも、従業員が無断欠勤する場合、事件事故、メンタル不調やパワハラ・セクハラといった問題が潜んでいる可能性があります。
正当な理由のない無断欠勤と即断せず、無断欠勤の原因を確認して慎重に対応することが重要です。
無断欠勤に法的な定義はありませんが、一般に、事前の連絡や正当な理由なく出勤しないことを指すことが多いでしょう。
無断欠勤が発生するのには、いくつかパターンがあります。
無断欠勤が何日続いたら解雇できるか明確なルールはありません。
ただし、解雇予告除外認定基準に「2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合」が定められているため、実務的には14日以上の無断欠勤が解雇の判断の一つの基準といえます。
14日以上の無断欠勤があった場合でも、就業規則でそれ以上の期間を無断欠勤による解雇の基準として定めている場合には、その期間を経過しなければ適法な解雇とは認められません。
また、企業側に何らかの落ち度がある場合や、出勤の督促を行っていない場合など、事案によっては14日以上の無断欠勤があっても解雇が無効と判断される可能性があります。
なお、公務員の懲戒処分指針では、21日以上の無断欠勤が免職の対象とされているため、より慎重を期す場合には、21日以上の無断欠勤を解雇の判断基準とする考え方もあります。
無断欠勤がある場合でも、以下の点に注意しながら段階的な対応を行うことが重要です。
連続して無断欠勤をしないものの、遅刻や無断欠勤を繰り返す場合、その都度、始末書をとり改善を促しましょう。
遅刻や無断欠勤が改まらない場合、戒告等の軽度の懲戒処分をします。
それでも遅刻や無断欠勤が改まらない場合、退職勧奨します。
従業員が退職勧奨に応じない場合、解雇を検討することになりますが、そのタイミングは遅刻や無断欠勤の頻度や指導・懲戒の状況などに応じてケースバイケースです。
従業員の安否確認を速やかに行うことが必要です。
自宅を訪問して、在宅しているか確認します。
不在の場合、連絡がほしい旨のメッセージを郵便受けに入れたり、ドアに挟んだりします。
一度目が不在の場合、二度目は夜間に訪問して室内灯が付いているか確認してみるのもよいでしょう。
緊急連絡先となっている家族へ連絡し、家族から従業員へ連絡をしてもらいます。
企業からの連絡には応じなくても、家族からの連絡であれば応じる可能性があります。
事件事故に巻き込まれた場合、逆に事件事故を起こして逮捕された場合も、警察から家族へ連絡が入る可能性が高いでしょう。
家族からも連絡が取れない状況が続く場合、家族から警察へ捜索願を出すよう検討してもらいましょう。
従業員の無断欠勤の原因がハラスメントであった場合、企業としては、事実確認のうえ、ハラスメントを行った従業員に対する懲戒処分や再発防止策を検討することになります。弁護士は、ハラスメントの関係者からの事情聴取やハラスメント該当性の判断、懲戒処分手続のサポートをすることができます。
また、無断欠勤を理由に解雇するケースは、14日以上の無断欠勤が継続しておりケースバイケースとはいえ、一応適法に解雇できる可能性が高い場合は少なく、遅刻や無断欠勤を繰り返す従業員の場合が多いでしょう。遅刻や無断欠勤を繰り返す従業員の解雇にあたっては、いきなり解雇せずに指導・懲戒処分を複数回行う等より注意が必要です。解雇に対して訴訟を起こす可能性が高い人物像ともいえ、事前の指導・懲戒処分の段階から弁護士が関与することで、遅刻・無断欠勤等の問題行動の証拠化や指導・懲戒処分の記録化を行うことが重要です。
問題社員への対応にお悩みの企業は、ぜひ一度ご相談ください。