契約書に関するコラムでは、契約書の作成・チェック・リーガルチェックのポイントをはじめ、 契約トラブルを未然に防ぐための実務知識や法的リスクへの対応について分かりやすく解説します。
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はじめに
「口約束で取引してきたけれど、本当に大丈夫なのだろうか」「取引先から契約書を渡されたが、このまま署名してもいいのか」このようなご不安を抱えている経営者・事業主の方は少なくありません。契約書は、ビジネスにおける「転ばぬ先の杖」です。弁護士法人たいようでは、中小企業・個人事業主の皆様の契約書作成・リーガルチェックを幅広くサポートしています。本コラムでは、契約書を作成する必要性、弁護士に依頼するメリット、そして弁護士法人たいようにできることをご説明します。
目次
日本のビジネス慣行では、長年の取引先との間では「まあ、いつも通りで」「お互い信頼しているから」という形で口頭・メールのみで取引が進むことがあります。しかし、時間が経つにつれて「言った」「言わなかった」という水掛け論が起きやすくなります。
典型例として、業務委託の場面を考えてみましょう。A社がフリーランスのB氏に「ウェブサイトのリニューアルをお願いしたい」と依頼したとします。「代金は完成後に払う」という認識はあったものの、納品物の範囲・修正回数・著作権の帰属・支払時期については何も書面にしていませんでした。後になってA社が「この部分は含まれているはずだ」、B氏が「それは別途料金だ」と主張し合い、関係が壊れてしまった――このような事例は、弁護士への相談案件として非常によく見受けられます。
合意内容を文書化することで、双方が同じ認識のもとで取引を進めることができ、後日のトラブルを未然に防ぐことができます。
契約書がない、あるいは不十分な契約書しかない状態で紛争が生じると、証拠上著しく不利な立場に置かれます。
裁判例として参考になるのが、業務委託報酬をめぐるトラブルです。発注者側が「検収が完了していないから支払わない」と主張しても、契約書に検収手続・検収期間の定めがなければ、受注者側が「業務は完了した」と主張するだけで裁判所は受注者側を認める判断をすることがあります。逆に、発注者側からすれば、修正要求や瑕疵の主張が書面になければ「後付けのクレームだ」と受け取られかねません。
また、代金未払いで訴訟を起こす場合、契約の存在自体を証明する必要があります。口頭のみの合意では、相手方が「そんな契約はしていない」と主張した場合に、これを覆す証拠がなく、請求が認められないリスクがあります。
さらに、契約書がない状態では民法の任意規定がそのまま適用されるため、当初の意図とは異なる結果になることも少なくありません。例えば、代金の支払時期について何も定めがない場合、民法上は「目的物の引渡しと同時」とされますが、これが実態と合わないケースもあります。
近年は、上場企業・大企業が中小企業との取引に際して契約書の締結を必須とするケースが増えています。また、銀行融資・補助金申請の場面でも、取引先との契約書の提示を求められることがあります。金融機関やVC(ベンチャーキャピタル)による審査の際に、主要取引先との契約書がないと「経営管理が不十分」と判断されることさえあります。
さらに、個人情報保護法・下請法・労働法などの観点から、一定の内容を盛り込んだ書面を作成する「法的義務」が課せられる場合もあります。例えば、中小受託取引適正化法(通称:取適法 旧下請法)が適用される取引では、親事業者は発注内容・代金・支払期日等を記載した書面または電磁的方法で直ちに交付しなければなりません。これを怠ると、公正取引委員会による指導・勧告の対象になりえます。
「ひな型をインターネットで見つけて使っている」という事業者の方は少なくありませんが、ひな型はあくまで一般的な内容を想定したものです。自社の業種・取引形態・リスク構造に合っていない条項が含まれていたり、必要な条項が抜け落ちていたりすることがあります。
弁護士がリーガルチェックを行う際は、①各条項の法的有効性(強行法規違反がないか)、②自社にとって不利な条項の有無(過大な損害賠償責任・一方的な解除権・知的財産権の帰属等)、③業法上の規制との整合性(建設業法・宅建業法・貸金業法等)といった多角的な観点から検討します。
特に秘密保持契約(NDA)・業務委託契約・売買基本契約・不動産賃貸借契約・フランチャイズ契約などは、一見シンプルに見えても、リスクが偏在しがちな契約類型です。弁護士の目を通すことで、署名前に問題点を発見し、交渉・修正することができます。
弁護士が作成・確認した契約書は、仮に紛争になった場合にも「証拠」として機能します。契約書に明確な条項があれば、紛争の早期解決や、訴訟における有利な立場の確保につながります。
実際の相談事例では、「相手方が代金を払ってくれない」「一方的に契約を解除された」「納品物に欠陥があった」といったトラブルが多く寄せられますが、弁護士が作成した契約書には損害賠償の範囲・遅延損害金・解除要件・合意管轄裁判所などが明記されており、これが交渉・訴訟において大きな差を生みます。合意管轄条項(紛争が起きた場合にどこの裁判所で解決するかを定める条項)が自社に有利な形で定められていれば、遠方での訴訟対応を免れることもできます。
「取引先から契約書を渡されたが、来週には署名しなければならない」「新規事業を始めるにあたって今月中に契約書を整えたい」――ビジネスの現場では、時間的制約のある場面が多くあります。
弁護士法人たいようでは、ご依頼内容に応じて優先度を調整しながら迅速な対応を行っており、標準的なリーガルチェックであれば数営業日での回答を目指しています。顧問弁護士契約をご締結いただいているクライアント様については、電話・メールでのご相談にも優先的に対応しており、急を要する場面でも安心してご利用いただけます。
弁護士法人たいようでは、AIを活用した契約書レビューシステム(LegalOn Cloud)を導入しており、契約書の問題箇所を効率的に抽出・整理することが可能です。これにより、従来よりも短時間で高精度なリーガルチェックを実現しています。
もっとも、AIはあくまでサポートツールです。最終的な法的判断・交渉方針のアドバイス・修正文案の作成は、経験豊富な弁護士が行います。当法人には、22年の経験を持つ弁護士を筆頭に、複数の弁護士が在籍しており、案件の内容・難易度・緊急度に応じてチームとして対応します。複数の弁護士の目が入ることで、見落としのリスクを低減しつつ、さまざまな業種・契約類型への対応が可能です。
「契約書のチェックを毎回スポットで依頼するのはコスト的に気になる」というご意見をいただくことがあります。また弁護士が多忙でスポット案件をお受けできない場合もございます。そのような場合に備えて、顧問弁護士契約をお勧めしています。
顧問契約のメリットは主に以下の点にあります。
まず、相談のしやすさです。顧問弁護士がいると、「この取引、何か気になる点はないか」「契約書を送るのでざっと見てほしい」という気軽な相談が可能になります。法的問題は早期発見・早期対処が鉄則であり、「弁護士に連絡するほどのことでもないか」という躊躇が早期相談を妨げることが、トラブルの深刻化につながることが多いのです。
次に、コストの予見可能性です。月額固定の顧問料で一定の法律相談・契約書チェックをカバーできるため、費用を予算化しやすくなります。
そして、継続的な関係性に基づく対応品質です。顧問弁護士は、会社の事業内容・取引先・過去のトラブル歴を把握したうえでアドバイスを行うため、より実態に即した助言が可能です。「自社のことを知っている弁護士がいる」という安心感は、経営者の皆様にとって大きな価値をもちます。
「契約書のことで弁護士に相談するのは大げさではないか」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、一枚の契約書が事業の存続を左右することもあります。問題が起きてから弁護士を探すよりも、問題が起きる前に相談していただくほうが、時間的にも費用的にも負担が少なくて済みます。
弁護士法人たいようは、愛媛県の松山・大洲を拠点に、地域の中小企業・個人事業主の皆様に寄り添った法律サービスを提供しています。契約書の新規作成・リーガルチェック・取引先との交渉対応・顧問契約のご相談まで、まずはお気軽にお問い合わせください。
愛媛において、四国において、
たいようが地方を元気にする存在となるよう輝かせたい。
法律の力で、魅力ある地方社会を創り出し、次世代に賑わいのある街をつなぎたい。
【経歴】
平成13年 京都大学法学部卒業
平成16年 弁護士登録(福岡県弁護士会)
平成18年 ひまわり基金法律事務所大洲開所
愛媛弁護士会所属
【専門分野】
事業再生、事業承継、倒産業務、債権回収、労働問題
