法律用語集

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あ行

囲繞地通行権(いにょうちつうこうけん)

ある所有者の土地が、他の所有者の土地又は海岸・崖地等に囲まれて(この状態を囲繞という)、公道に接していない場合に、囲まれている土地の所有者が公道まで他の土地を通行する権利。
囲繞地・・・囲んでいる側の土地
袋地・・・囲まれている側の土地で、公道に通じていない
通行権者は、囲繞地の所有者に対して、必要最小限の方法により通行権を行使することを得、行使に際し償金を支払う、即ち、有償で行使できる。ただし、ひとつの土地を法的に分割して袋地が生じた場合は、袋地の所有者は公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することができる。この場合には、償金を支払う必要がない。

遺留分

遺留分(いりゅうぶん)とは、被相続人の兄弟姉妹以外の相続人に対して留保された相続財産の割合をいう。遺留分は被相続人の兄弟姉妹以外の相続人にのみ認められるため、被相続人の兄弟姉妹に遺留分はない。相続の開始以前に被相続人の子あるいは被相続人の兄弟姉妹が死亡、相続欠格・廃除によって相続権を失った場合、その者の子が代わって相続する代襲相続の場合の代襲相続人にも遺留分は認められる。

売掛金

掛取引によって商品を販売した場合に代金を受領する権利(債権)をいう。
このような債権を総称して売上債権というが、当該債権について手形を保有している場合には受取手形、そうでない場合には売掛金として区別される。勘定科目としては流動資産に区分される。

疑わしきは罰せず

刑事裁判においては検察側が挙証責任を負うが、ある事実の存否が判然としない場合には被告人に対して有利に(=検察側にとっては不利に)事実認定をする、というのが刑事裁判における原則である。

裏書の連続

手形の所持人が手形上の権利を行使するには、第一裏書人から所持人まで裏書(譲渡)が連続している必要がある。
裏書が連続しているとは、「受取人が第一裏書人になり、第一裏書の被裏書人が第二裏書人となり、第二裏書の被裏書人が第三裏書人となって所持人に譲渡している。」というように手形の受取人から現在の所持人まで裏書がとぎれることなく続いていることをいう。
裏書の連続していない手形を所持人が銀行へ取立に出しても「裏書不備」を理由に支払を拒否される。

オプトイン規制

改正特定商取引法における「電子メール広告規制」により、電子メール広告を送る際にはあらかじめ消費者から「送信して欲しい」「送信してもよい」という請求や承諾を得ることが義務付けられている。
消費者が請求や承諾の意思表示をしなければ、原則として電子メール広告を送ることはできない。
携帯電話の「ショートメールサービス」(SMS)を利用した広告も規制対象となっている。

か行

割賦販売法(かっぷはんばいほう)

売買代金を分割して毎年あるいは毎月定期的に支払うことを約束した売買をいう。
割賦販売には、ある程度代金が積み上がってから買主に目的物を引き渡す場合と、最初に目的物を買主に引き渡してしまう場合がある。
前者の場合については、目的物を引き渡さない間に売主が倒産してしまうと、大勢の買主に迷惑を及ぼす。
後者の場合には、売主が代金債権を担保するため、所有権留保を行ったり、違約罰を定めたりするなど、とかく経済的地位が劣り事情に疎い買主に不利過酷な条件が付されがちである。そこで、割賦販売法によって割賦販売に規制をかけることが要請された。
割賦販売等に係る取引の公正の確保、購入者等が受けることのある損害の防止及びクレジットカード番号等の適切な管理に必要な措置を講ずることにより、割賦販売等に係る取引の健全な発達を図るとともに、購入者等の利益を保護し、あわせて商品等の流通及び役務の提供を円滑にし、もつて国民経済の発展に寄与することを目的とする。消費者信用のうち販売信用に関して規定する中心的な法律である。

買掛金

掛取引によって商品を購入した場合に代金を支払う義務(債務)をいう。
本来、このような債務を総称して仕入債務というが、当該債務について手形が存在する場合には支払手形、そうでない場合には買掛金として区別される。
会計上、仕入債務は未払金の一種であるが、仕入先との通常の取引に基づいて発生した営業上の未払金を仕入債務という。

解雇理由書

労働者が解雇を予告された場合、解雇予告の日から解雇日までの間、使用者に対してその解雇の理由を記載した証明書の交付を請求することができる。
会社は、解雇予告した従業員から、解雇予告日から退職日までの間に解雇の理由について証明書を請求された場合は、遅滞なくこの証明書を交付する義務がある。

過払金

過払金(かばらいきん)とは、利息制限法に定める利率(法定利率)で計算した結果算出される、本来支払う必要がないにもかかわらず、貸金業者に返し過ぎた過剰な支払分のこと。

株式

株式とは、法律上は株主権を指すが、一般的には株式会社が発行する株券(出資証券)そのものを指して株式と呼ぶことが多い。
新しい会社を始めようとするとき、株式を発行することによって多くの出資者から資金を集めることができる。また、株式会社が事業を拡大するときも、株式を新たに発行して増資することができる。ただし、株式を東証1部、東証2部、マザーズなどの証券取引所に上場するには、さまざまな条件が必要となる。
会社は、いろいろな人からお金を出資してもらう代わりに、将来会社が利益を上げたら、出資金に応じてその利益の分配を約束する。もし事業がうまくいかなくて倒産してしまっても、会社は出資金を返却する義務は負わない。これが株式の考え方である。
株主が株式会社へ出資した資金は、会社が存続する限り払戻されない。株主が株式を換金しようとするときは、株式市場で売却することになる。
株式を持つということは、その企業の成長に期待して出資することであり、間接的にその企業の経営に参加することを意味する。株式投資とは、将来性のある企業に出資することによって利益(リターン)を得ることを意味しており、自分の資産形成にとって意義がある。また、どんな企業を支援するかは良い商品やサービスを提供している企業を支援するという意味で、社会的な意義も持っている。

株式会社

株式を発行して投資家から資金を調達し、その代金で事業活動を行なう会社を株式会社と呼ぶ。
細分化された株式を有する株主から有限責任(出資額を限度とする責任)の下に資金を調達し、株主から委任を受けた経営者が事業を行い、利益を株主に配当する、法人格を有する企業形態である。株式の発行と社員(株主)の有限責任という二大特質によって経営への参加が容易になり大規模な企業経営を営むことを可能とするのが株式会社の特徴である。
株式会社制度の下では、事業を遂行する人(経営者)と株主は異なり、経営者と出資者が別人でも構わないので、ビジネスの手腕のある人は、自己資金が無くても、株式発行により資金を集めて事業ができる。
公開された株式を購入することで誰でも出資者(株主)になれる。株主は、会社の利益により配当を受けることができ、更に株主総会に参加して会社の経営に参加することもできる。事業が成功して利益が上がれば株価の上昇で株主の利益が増え、株数に応じて配当金や株主優待を受け取れるが、半面、事業がうまくいかなければ配当金は無く、株価も下がる。

株主

株主とは、株式会社の出資者として株式会社の株式を保有し、会社の所有者の一員という立場に立つ個人・法人をいう。社員というと普通は従業員のことを指すが、商法上では、出資者である株主のことを社員と呼ぶ。
株主は、保有している株式数に比例して配当を受け、その会社の経営方針にも影響を与えることができる。(株主平等の原則)
株主の権利の事を株主権といい、権利行使の結果がその株主個人の利益だけに関係する自益権と、株主全体の利益につながる共益権とに分けられる。
自益権とは株主の経済的利益となる権利のことで、利益配当請求権、残余財産分配請求権、新株引受権、株式転換請求権、名義書換請求権、株券交付請求権、株式買取請求権などをいう。

株主総会

株主総会は株主を構成員とする会議体で、株式会社の最高意思決定機関である。
決議には、株主総会の議長の選出、取締役や監査役の選任などの「通常決議」のほか、会社定款の変更、株式併合、会社合併、株式交換、株式移転、減資などに関する「特別決議」があり、株主総会の決議は原則として多数決をもって行なわれる。
毎決算期に1回開催される「定時株主総会」と、必要に応じて開催される「臨時株主総会」がある。

株主代表訴訟

株主代表訴訟とは、株主が会社に代わって直接取締役等の経営責任を訴追する訴訟のことである。取締役の経営判断によって会社に損害が生じた場合、株主は会社に代わって損害賠償を求めることができる。
役員等の責任は、本来会社が追求すべきである。通常、会社(取締役会、取締役)が違法行為を行ったり、株主に対する損害を与えたりした場合、監査役が会社を代表して取締役を訴追する。しかし、役員等の馴れ合いにより不問に付される可能性があるのが現実だ。そこで、会社・株主の利益を守るために、株主が会社に代わって訴えを提起して役員等の責任を追及することができる制度になっている。株主代表訴訟の提起は株主が行使できる共益権の中の一つであり、会社の経営者に対する監視機能として大きな役割を果たしている。
日本では、1993年の商法改正で訴訟手数料が引き下げられたことで、株主代表訴訟の件数が伸びている。
株主代表訴訟では、会社が原告という形を取るので、被告である取締役の損害賠償責任が裁判で認められると、取締役個人が会社にその賠償金を支払うことになる。事業規模によっては個人の支払能力を超える巨額の損害を出すおそれもあり、制度の見直しを求める声も出ている。
賠償金は会社に支払われ、株主が直接受け取るわけではない。実際のところ、経営陣の責任が明らかにされれば十分と考え、取締役個人に賠償金の支払いまでは求めないケースもある。
6ヶ月以上前より引き続いてその会社の株式を有する株主は、監査役に対して取締役を訴追するよう請求することができる。請求の後、60日を経過しても監査役が訴追しない場合、株主が直接取締役を訴追することができる。ただし、責任追及の訴えが、その株主や第三者の不正な利益を図る目的の場合や、会社に損害を加えることを目的としている場合には、訴えを起こすことはできない。

株券

株券は、株式会社の株式の保有および株主の地位・権利を証明する有価証券、社員権証券の一つである。株券には、会社の商号や発行年月日などの決定事項、代表取締役の署名などが記載されている。
ただし、新会社法においては、株券不発行が原則である。上場会社の株式等に係る株券をすべて廃止し、株券の存在を前提として行われてきた株主権の管理を、証券保管振替機構(「ほふり」)および証券会社等の金融機関に開設された口座において電子的に行うこととするものだ。今後は株券を発行せず、保管振替機構がコンピューターで株の保有や譲渡の情報を一括管理するペーパーレス化が実施される。
株券電子化には多くのメリットがある。まず、株主にとっては、株券を手元で保管することなどによる紛失や盗難、偽造株券取得のリスクが排除され、株式の売買の際、実際に株券を交付・受領したり株主名簿の書換申請を行う必要がなくなり、発行会社の商号変更や売買単位の変更の際に、株券の交換のため、発行会社に株券を提出する必要がなくなる。また、発行会社にとっては、株主名簿の書換に当たり株券が偽造されたものでないか等のチェックを行う必要がなくなり、株券の発行に伴う印刷代や印紙税、企業再編(企業間の合併や株式交換、株式移転など)に伴う株券の回収・交付のコスト等が削減でき、株券喪失登録手続を行う必要もなくなる。

会社分割

企業が事業の一部を切り離し、新会社として独立させたり、他の企業に承継させたりする制度。
新しく設立する会社に企業が切り離した事業を承継させる新設分割と、既存の他の会社に企業が切り離した事業を承継させる吸収分割の2つの形がある。さらに、分割を行った会社に、株式を割り当てる物的分割と、分割を行った会社の株主に株式を割り当てる人的分割にも区別される。

貸金業法

貸金業者の業務の適正運営の確保、資金需要者の利益保護などを目的として施行されている法律。
過剰貸付の禁止、契約書面の交付義務、受取証書交付義務、帳簿の備付け義務、貸金業務取扱主任者の選任、貸金業協会や社団法人全国貸金業協会連合会の設立などの内容を定めている。

瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)

売買の目的物に瑕疵(その物が取引上普通に要求される品質が欠けていることなど、欠陥がある状態)があり、それが取引上要求される通常の注意をしても気付かぬものである場合に、売主が買主に対して負う責任のこと。
買主が瑕疵の存在を知ったときから1年間が民法の売買契約における瑕疵担保期間である。

仮差押

金銭債権の執行を保全するために、債務者の財産の処分に一定の制約を加え、「その財産を差押る用意があるので勝手に処分してはならない」とする裁判所の財産保全命令をいう。債権者は自己の債権の保全の必要性を疎明し、保証金を積んで裁判所の仮差押命令をもらい、債務者の不動産、動産、債権等の仮差押執行を行うこととなる。

元本

投資したお金、元金のこと。
投資資金より、少ない金額しか戻らないことを「元本割れ」という。

強制保険

強制保険とは、加入が法令により義務付けられている保険のことをいう。
例として自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)、労働者災害補償保険(労災保険)、国民健康保険、介護保険などがある。今回は交通事故に焦点をあて、自賠責保険について紹介する。強制保険(自賠責保険)とは、自動車(農耕用の小型特殊自動車は除く)の使用者に対して加入が義務付けられている保険のこと。万一の事故の際、被害者や遺族に対して、最低限の賠償金を確保するための制度。これに加入していない場合、路上での車両運行は事実上認められず、違反者には刑事罰が科せられる。

議決権利制限株式

議決権制限株式とは、議決権(会社の経営に参加できる権利)に制限のある株式のことをいう。
議決権制限株式には、無議決権株式(株主総会において議決権を行使できない株式)や、議決権一部制限株式(決議事項の一部に限り議決権を行使できる株式)が含まれる。

競業避止義務(きょうぎょうひしぎむ)

一定の者が、自己または第三者のために、その地位を私的に利用して、営業者の営業と競争的な性質の取引をしてはならない義務のこと。
社員が退職後に同業他社へ就職したり独立自営した場合、会社のノウハウや機密がそのまま大量に外部に洩れるのを防ぐために、退職した社員には競合する会社に就職させないようこの義務を課する企業が増えてきているが、日本国憲法の基本的人権である「職業選択の自由」から考えるとあながち有効とはいえず、過去の判例においても判決はまちまちである。

起訴猶予

起訴猶予とは、検察官の不起訴処分の1つであり、起訴は検察官だけができ、起訴するかしないかは、検察官の裁量に任されている。
起訴猶予とは、犯罪の事実は間違いないが裁判にはしないというものである。

クーリング・オフ制度

特定商取引法などで定められているクーリングオフは、適用対象商品について一定期間内であれば理由の如何を問わず、契約の申込みの撤回又は契約の解除をできるというものである。
一方、消費者契約法での消費者契約の取消権は、誤認・困惑を理由としたものであり、クーリングオフとは別のものである。
消費者契約の取消しとクーリングオフの両方が可能な場合はどちらを適用してもよい。ただし、クーリングオフの場合は期間内ならば理由のいかんを問わないのに対して、誤認・困惑による契約の取消しには、事業者側から「誤認、困惑を招くことはしていない。」と反論が出る可能性があり、消費者側に立証責任がある。
また、商品の返還・引取費用などで消費者に金銭的な負担が生じることがある。
よって、クーリングオフできる場合ならば、消費者契約法による取消しよりも、クーリングオフの方が消費者にとっては有利である。

検索の抗弁権

保証人が債権者に対し、主たる債務者に弁済の資力があることを証明することで、自己の保証債務の履行を拒むことができる権利をいう。
検索の抗弁権の行使があった場合は、債権者はまず主たる債務者の財産に執行しなければならない。
抗弁権を行使した場合、債権者が主たる債務者に履行の催促をしなかった為、その後弁済を得られなかった場合、保証人は債権者が直ちに履行の請求をすれば弁済を得られた限度で保証債務の責任を免れる。

後遺症等級認定

交通事故によって負ってしまった後遺症・後遺障害の程度について、自賠責保険の保険金支給基準とするために「後遺症別等級」が定められ、重要な基準とされている。
被害者が損害賠償を請求できる逸失利益や慰謝料の金額は、後遺症がどの等級に認定されるかによって大きく影響をうける。
治療を続けてもそれ以上症状の改善が望めない状態を、症状固定と言う。残った障害の程度が一定の条件以上であれば、後遺障害に認定される。
この等級は1級から14級まであり、1級が一番重く、14級が一番軽い。

個人再生

個人再生(こじんさいせい)とは、倒産処理制度の一つ。返済負担の圧縮と返済計画の立案とを支援する手続。
個人再生には2つの種類がある。
・小規模民事再生
将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり、かつ、住宅ローンや、担保権で回収できる見込み額を除いた債務総額が5千万円以下の個人である債務者が行うことができる。
・給与所得者等再生
小規模個人再生手続きを利用できる人のうち、給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みが大きく、かつ、その変動の幅が小さいと見込まれるものが行うができる。

公証人

公証人とは、ある事実の存在、もしくは契約等の法律行為の適法性等について、公権力を根拠に証明・認証する者のことをいう。
法務大臣が任命する公務員で、全国各地の公証役場で執務している。日本においては公証人法に基づき、公正証書の作成、私署証書(私文書)や会社等の定款に対するの認証、事実実験、確定日付の付与などを行う。

後見人

後見人とは、財産に関するすべての事項で、未成年者あるいは成年被後見人の法定代理人となる者をいう。
未成年者の場合には、本来、法定代理人となるべき親権を行う者(親権者: 父母、養親)がいないとき、または、親権者に財産管理権がないときにのみ後見人が置かれる。
また、成年後見の場合には、精神上の障害により判断能力を欠く常況にある者に代わって法律行為を行う者として選任された者を成年後見人とよぶ。

合議体の構成

原則、裁判官3名、裁判員6名の計9名で構成する。
ただし、公訴事実について争いがないと認められるような事件(自白事件)については、裁判官1名、裁判員4名の5名の合議体で裁判することも可能である。

さ行

裁判員

裁判員とは「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(通称:裁判員法)」に基づいて、一般市民から選出され、裁判官と共に刑事裁判に参加する人のことをいう。

裁判員の資格

20歳以上の日本国民。
資格の中には、欠格事由、就職禁止事由、不適格事由、辞退事由などがあり、それらに該当する国民は裁判員としては認められない。

裁判員制度

特定の刑事裁判において、有権者(市民)から事件ごとに選ばれた裁判員が裁判官とともに審理に参加する日本の司法・裁判制度をいう。
国民の中から選ばれた6人の裁判員の方に、3人の裁判官と一緒に、被告人が有罪か無罪か、有罪の場合はどのような刑にするのかを決めてもらう制度である。
法律の専門家が当然であると考えているような基本的な事項について、裁判員から質問や意見が出されることによって、国民が納得しやすく理解しやすい裁判になると考えられている。

裁判員制度の対象事件

死刑又は無期の懲役・禁錮に当たる罪に関する事件。
法定合議事件(法律上合議体で裁判することが必要とされている重大事件)であって故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に関するもの。
例:外患誘致罪、殺人罪、強盗致死傷罪、傷害致死罪、現住建造物等放火罪、強姦致傷罪、危険運転致死罪、保護責任者遺棄致死

先取特権

法定担保物権の一種で、一定の類型に属する債権を持つ者に付与される、債務者の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利をいう。
民法について以下では、条数のみ記載する。一般の債権者に先んじて弁済を受ける権利を先取特権という。一般の先取特権と特別の先取特権に分類される。
●一般の先取特権
共益費用の先取特権・雇人給料の先取特権・葬式費用の先取特権・日用品供給の先取特権がある。たとえば雇人が雇用主に対する未払い給料、退職金等の債権は雇用主の財産を競売した時に優先的に弁済を受ける権利がある。〔雇人給料の先取特権〕
一般の先取特権は債務者〔上記の例では雇用主〕の総財産が担保に供され、登記がなくても裁判所に申し出て競売の申立てをすることができる。
●特別の先取特権
不動産の先取特権・動産の先取特権がある。
不動産の先取特権には不動産保存の先取特権・不動産工事の先取特権・不動産売買の先取特権がある。

催告の抗弁権

債権者が保証人に債務の履行を請求したときに、保証人が、先に主たる債務者に請求するように要求することができる権利をいう。
抗弁権を行使した場合、債権者が主たる債務者に履行の催促をしなかった為、その後弁済を得られなかった場合、保証人は債権者が直ちに履行の請求をすれば弁済を得られた限度で保証債務の責任を免れる。
なお、主たる債務者が破産または行方不明などの状態であった場合、この権利は消滅し、行使することができない。

債務

特定の相手方に対し、借入金の返済等、一定の行為をすること又はしないこと(不作為)を内容とする法的義務をいう。複数の人が、同じ債務を負担すると連帯債務となる。

債権者/債務者

債権者とは、債権(法律上相手に請求できる権利)を持ち、特定人(債務者)に対して、一定の給付を請求する権利をもつ者のこと。
債務者とは、債務義務を負う者のこと。債権者に対して一定の給付義務を負う。

出廷義務

裁判員及び補充裁判員は、公判期日や、証人尋問・検証が行われる公判準備の場に出廷しなければならない。正当な理由なく出廷しない場合、10万円以下の過料が課される。
また、評議に出席し、意見を述べなければならない(評議参加者全員の意見が必要なため。議論が進む中で、気付いた範囲で、自由に意見を述べればよい)。

守秘義務

裁判員は、評議の経過や、それぞれの裁判官・裁判員の意見やその多少の数(「評議の秘密」という。)その他「職務上知り得た秘密」を漏らしてはならない。この義務は、裁判終了後も生涯に渡って負う。裁判員が、評議の秘密や職務上知り得た秘密を漏らしたときは、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処される。
ただし、公判中に話された傍聴人も知り得る事実については、話してもよいとされている。また、裁判員として選ばれたという事実そのものを身内や職場の上司など親しい人物などに秘匿する義務はない。これはそうしなければ会社を休めない会社員や、取引先との業務の都合上で報知の必要がある自営業者などのことを考慮してのことである。ただし、この場合であっても、ネットなど不特定多数が目に触れるような媒体での公開は守秘義務に違反する。
守秘義務に関しては職業裁判官と裁判員の守秘義務に不均衡が生じている。職業裁判官の守秘義務は在任中は弾劾裁判等によって担保されているが刑事罰は無い。退官後は元々刑事罰が無い上に弾劾裁判の効力がなくなるので担保するものが無いことになる。

司法制度改革審議会

日本において、司法制度改革審議会設置法によって1999年7月27日から2001年7月26日までの間、内閣に設置された審議会のこと。裁判員制度の骨格もこの審議会で決定された。

借地借家法

建物の所有を目的とする地上権・土地賃貸借(借地契約)と、建物の賃貸借(借家契約)について定めた特別法である。「しゃくちしゃくやほう」とも呼ばれる。土地や建物の賃貸借契約における借主(借地人、借家人、店子)の保護にある。
これらの賃貸借契約についての規定は、民法典にも存在する。しかし、民法典の規定は自由主義思想を背景に、当事者の個性を重視せず、抽象的にしか把握しない。そのため、契約当事者には形式的な平等しか保障されていないといえる。
ところが現実の賃貸借契約においては多くの場合、貸主(大家)と借主(店子、借家人)との力関係には差がある。そのため、両当事者の実質的な平等を保障し、一般に弱い立場に置かれがちである借主の保護を図ったものである。また、資源としての建物の保護(まだ使用できる建物を早期に取り壊さなければならない状況を極力減らす)をも図られているといわれる。

商事留置権

商事留置権とは、広義には商法上に規定される留置権の総称をいい、狭義にはこのうち商人間の留置権のみを指す。
商人間の双方にとって商行為となる行為によって生じた債権が弁済期にあるときには、債権者はその債権の弁済を受けるまで、その債務者との間における商行為によって自己の占有に属することとなった債務者の所有物や有価証券を留置することができる。商人間の留置権の場合、目的物と被担保債権の間に強い関連性がなくても良いとされる。つまり、双方の商行為に基づく債権の相手方の所有物が、全く違う取引などによってたまたま手元にあった場合、これを担保として留置権を主張することができる。

出資法(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律)

出資金の受入れ、預り金、浮貸し、金銭貸借の媒介手数料、金利について規制する法律。
出資法は略称。

消費者契約法

悪徳商法などから消費者を守るためにつくられた新しいルールで、消費者と事業者との間で結ぶすべての契約を対象としている。
不適切な勧誘で誤認・困惑して契約した場合は、契約を取り消すことができる。
また、消費者に一方的に不当・不利益な契約条項(事業者の損害賠償責任を免除・制限する条項、不当に高額な解約損料・遅延損害金、信義誠実の原則に反して消費者の利益を一方的に害する条項)がある場合、契約の一部または全部を無効にすることができる。ただし、不実の告知などの取消事由があったかなかったかをめぐって事業者との間で争いになった場合は、消費者が証明しなければならない。
そのためには、勧誘や契約締結の際に事業者の用いた説明資料などをもらって保管しておくこと、事業者が勧誘の際に示した説明資料を回収しようとする場合にはコピーをもらうこと、資料類が不十分なときには説明されたポイントをその都度メモに控えておくことなどの注意が必要である。

消費者と事業者

事業に関連する目的で行為する個人または法人を「事業者」とよぶのに対し、 消費生活において事業に関連しない目的で行為する個人を「消費者」という。 消費者契約法で、消費者と事業者との間で締結されるすべての契約について消費者の利益の擁護を図っているのは、両者間に情報の質および量ならびに交渉力の格差が大きいためである。

消費者契約

消費者契約とは、「消費者」と「事業者」との間の全ての契約のことであり、事業者同士あるいは消費者同士の間の契約と区別している。

消費者契約の取消し

消費者は次のような事業者の不適切な行為により誤認・困惑を伴って結んでしまった契約を取り消すことができる。
・嘘を言っていた。(不実告知)
・確実に儲かるとの儲け話をした。(断定的判断)
・都合の悪いことを知っていて隠していた。(故意による不利益事実の不告知)
・自宅や職場に押しかけて「帰ってくれ」と言ったにも関わらず帰らなかった。(不退去)
・事業者から呼び出されて「帰りたい」と言ったにも関わらず帰してくれなかった。(監禁)
消費者契約法における誤認・困惑を理由とした消費者契約の取消権は、追認できる時から6ヶ月、契約締結のときから5年という時効があるので注意が必要である。

執行猶予

執行猶予とは、起訴されて有罪判決となったが、その刑罰の執行を猶予する制度である。執行猶予期間中に再度罪を犯した場合には、実刑に処せられ、執行猶予は取消され、後の罪と合わせて執行される。

事業譲渡

事業譲渡(じぎょうじょうと)とは、会社がその事業を譲渡することをいう。具体的には営業資産、その営業に必要な人員、営業権などの他社への売却である。事業譲渡は、株式取得のように買収先企業の資産をすべて抱え込む必要がないため、債務保証など簿外の債務などを図らずも負ってしまう危険性はない。しかし、許認可などは当然に移転するわけではなく、個別資産の名義変更など手間を要する。

事業用借地権

1991年に新しく成立した借地借家法に基づく定期借地権のひとつで、居住ではなく事業のために一定期間土地を借りて使用する権利のこと。
現在のところ、事業用借地権の契約期間は10年以上20年以下で、契約の更新は認められない。契約満了時には、借主は建物を解体し、更地にして地主に返還する。また、契約書は公正証書にすること、となっている。

示談

裁判を行わず、加害者・被害者間で損害賠償責任についてや、その賠償額や支払い方法等について、話し合いで、民事的紛争を解決すること。
一度示談書を作成、取交し、賠償額を決めれば、被害者はそれ以上の損害について加害者へ請求出来なくなり、加害者はその責任を免れるのが原則である。
その為、かえって被害者が不利になる場合もある為、示談には慎重に取り組む必要がある。
(示談締結後に重大な後遺症が発覚したり、示談金額が非常に低額で、著しく正義に反すると考えられる場合などについては、示談が無効(全部または一部)とされた事例もある。)

授権資本制度

授権資本制度とは、株式公開会社の定款に定める株式数(授権株式数・発行可能株式総数)の範囲内であれば、取締役会の判断でいつでも新株を発行することができるという、経営者の権利のひとつである。むやみな新株発行を避けて既存株主や会社債権者を保護しつつ、経営上の判断による迅速な資金調達を可能にすることを目的としている。
授権資本とは、取締役会の決議を経れば取締役会が発行してもよいと株主から授権された株式数のことだ。株式会社の設立にあたっては授権資本の4分の1以上の株式を発行しなければならないが、残りの株式は、会社の必要に応じて取締役会の決議によっていつでも発行することができる。
会社に資金調達の必要が生じるたびに、株主総会を開き新株発行を決定していれば迅速さが失われ、経営効率が悪くなることから、この制度が導入された。新株を発行することで既存株主の持ち株比率が下がったり、株価の下落をもたらす可能性があるため、発行可能株式総数をあらかじめ決めておくことで既存株主の利益を守っている。

時効

時効には民事上の時効と、犯罪の訴追ができなくなるという意味でつかわれる刑事上の時効があるが、ここでは民事上の時効を説明する。
時効は、時間の経過により権利の取得、消滅が可能となる制度。時間経過によって権利を取得することを「取得時効」、権利が消滅することを「消滅時効」と言う。所有権の取得時効は、悪意又は過失による占有の場合は20年、善意かつ無過失による場合は10年。消滅時効についても、普通の民事債権の場合は10年、商事債権は5年。但し、法律の特別規定でそれとは違う期間を定めるものもある。 時効の効果は、時効によって利益を受ける者の意思表示によって生じる。この意思表示を「時効の援用」と言うが、時効の援用をしなければ時効の効果は発生しないので注意が必要。

時効の中断

時効期間が経過しても、時効の援用がなされなければ時効の効果は発生しないので、時効の基礎である事実状態の継続を破るような事情が発生すると、進行してきた時効期間は効力を失う。これを「時効の中断」と言う。具体的には債務者が債務を認める承認(弁済などがこれにあたる)や、債権者からの裁判上の請求等がこれにあたる。

宣誓

裁判員及び充裁判員は、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判長から裁判員及び補充裁判員の権限、義務その他必要な事項を説明される。裁判員及び補充裁判員は、最高裁判所規則で定めるところにより、法令に従い公平誠実にその職務を行うことを誓う旨の宣誓をしなければならない。

生前贈与

生前贈与とは、死ぬ前に、自分の財産を人に分け与えることをいう。
自分が生きているうちに特定の人に財産を贈与しておくと、関係がこじれてしまっている親族が、相続によって自分の財産を受け取ることを防げる。ただし、何も手続きをせずに生前贈与をしてしまうと、相続税よりも税率の高い贈与税を支払わなければいけなくなる。

損害賠償

違法な行為により損害を受けた者(将来受けるはずだった利益を失った場合を含む)に対して、その原因を作った者が損害の埋め合わせをすること。
埋め合わせとしての金銭や物品そのものを指すこともある。財産的損害、精神的損害ともに因果関係があれば請求でき、積極的損害、消極的損害ともに賠償の対象となる。なお、精神的な損害に対する賠償については、「慰謝料」と言われる。適法な行為による損害の埋め合わせをする「損失補償」とは区別される

相続人

相続人とは、被相続人(=遺産を遺した人)が亡くなったときに、相続する権利がある人のことをいう。
遺産を相続する場合には、民法で相続順位というものが定められており、相続の有無はこの順位が優先される。
・配偶者・・・・相続順位はなく、常に相続権がある。
・直系卑属・・・第1順位。配偶者と同様に、常に相続権がある。
・直系尊属・・・第2順位。第1順位の相続人がいないときに相続権がある。
・兄弟姉妹・・・第3順位。第1、2順位の相続人がいないときに相続権がある。
上位の相続順位の人がいるときは、下位の人には相続権がなく、相続の割合も決まっている。(法定相続分という)

た行

担保

債務の履行を確実化するために、義務者から権利者に提供される事物。
提供された事物が「保証人や連帯保証人」である担保を人的担保と呼び、「不動産や抵当権など」である担保を、物的担保と呼ぶ。

中小企業整備基盤機構

独立行政法人中小企業基盤整備機構法の定めるところにより、平成16年7月に設立された独立行政法人である。
創業・新事業展開への挑戦を促進し、中小企業が質の高い経営を営めるように経営基盤の強化を支援している。
また、経営環境の変化に中小企業の方が適切に対応し、安心して事業を行えるように各種制度を整備している。
これらの幅広い支援施策や専門的な知見に基づいて、中小企業支援機関の中核として積極的に活動すると共に、全国9ヶ所にある支部を通して現場の情報やニーズを共有化し、中小企業の方にとって「身近で、迅速、的確なサポート」を行っている。

賃貸借契約

有料(有償)で、物を貸し借りする契約のことである。典型例としては、賃貸マンション、レンタカー、レンタルビデオなどがある。物の使用収益を認める(貸す)当事者を賃貸人・貸主、物の使用収益を認められた(借りる)当事者を賃借人・借主という。
賃借人が賃貸借契約に基づいて目的物を使用収益する権利を賃借権といい、賃貸人がある物を賃貸借契約の目的物とすることを「賃借権を設定する」という。日本の民法においては、第3編「債権」の第2章「契約」の第7節「賃貸借」に規定されている。賃貸借契約の法的性質は諾成・有償・双務契約である。

貸金業法

貸金業法(旧称:貸金業規制法)に関する法律は、「貸金業が我が国の経済社会において果たす役割にかんがみ、貸金業を営む者について登録制度を実施し、その事業に対し必要な規制を行うとともに、貸金業者の組織する団体を認可する制度を設け、その適正な活動を促進することにより、貸金業を営む者の業務の適正な運営を確保し、もつて資金需要者等の利益の保護を図るとともに、国民経済の適切な運営に資することを目的とする」法律である。
従来の題名(名称)は「貸金業の規制等に関する法律」であり、「貸金業規制法」(かしきんぎょうきせいほう)、「貸金業法」との略称が用いられていたが、改正に伴い、2007年12月19日より、正式な題名が「貸金業法」となった。

懲戒解雇

懲戒解雇(ちょうかいかいこ)とは、事業主が労働者の責めに帰す理由で解雇すること。重責解雇とも言われ、通常は再就職の大きな障害になることから労働者にとって厳しいものになる。懲戒解雇の法律上の定義はなく、習慣的な名称である。
懲戒解雇の理由としては、長期の無断欠勤、会社の金品の横領、職務・会計上での不正、重大な過失による業務の妨害、重大な犯罪行為などが多い。会社側が内部告発を行った者への制裁として懲戒解雇を行うことがあり、会社都合退職を求める労働者側との争いになることがある。

抵当権

担保物権の一つ。
債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保として確保した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利のこと。

取締役会

取締役会は、取締役全員によって構成され、その会議における決議によって業務執行に関する会社の意思を決定するとともに、業務執行の任にあたる代表取締役などを監督する機関である。株主総会の決議事項と定められている事項を除き、会社の経営に関する決定権限はすべて取締役会に属する。
会社設立時の取締役会で決議する事項は、代表取締役の選任、共同代表について、本店の所在地の町名・番地までの決定、支店の設置について、業務の責任者(本店や支店の支配人)の決定などである。
会社設立後は、重要な財産の処分や譲渡・引き受け、多額の借財、本店や支店の支配人の選任、株主総会の招集、株式の譲渡の承認、新株の発行や社債の発行などを決議する。
本来は重要な機関だが、企業の規模によって意思決定が極度に集約・分散される傾向が強いため、取締役会は小規模会社と大規模会社の両方において形骸化が著しいといわれる。そのため執行役員制度など、実務に関しては別の制度を利用し、取締役会はその承認を行なう単なる決定機関として機能している場合も少なくない。

動産売買先取特権

動産を売買した時に発生する先取特権をいう。動産の売主は、売買の目的物に対して、代金・利息についての担保権が発生する。
また、抵当権・質権と違い、法律で自動的に担保権が発生する法定担保物権である。

な行

任意保険

自賠責保険が強制的に加入することを義務付けられているものに対して、任意保険(任意自動車保険)は任意で加入するものである。
重大な事故の際は、自賠責保険では補償能力が不足する為、強制保険以外に任意保険にも加入しておくことが推奨される。

任意整理

任意整理とは、裁判所などの公的機関を利用せずに、裁判外で債務者本人と債権者との交渉によって支払い条件を見直し、通常3年間程度分割払いで多重債務をなくすことが出来るように負債を圧縮する手続のこと。

任意同行

任意同行には職務質問のための任意同行と捜査のための任意同行とがあり、それぞれ近くの派出所や警察署に出頭するよう求め、その同意を得て同行することを言う。
当然逮捕ではないので、被疑者にとって同行を拒否し同行後いつでも退去できる。

根抵当権(ねていとうけん)

一定の範囲内の不特定の債権を極度額の範囲内において担保するために不動産上に設定された担保物権のことである。
根抵当権は、担保すべき債権が特定されていないため付従性(附従性)がなく、継続的な取引関係にある当事者間に生じる債権を担保することに向いている。

ネガティブ・オプション

注文していないにもかかわらず事業者が消費者に勝手に商品を送り付け、その人が断らなければ買ったものとみなして代金を一方的に請求する商法で、「送りつけ商法」、「押しつけ販売」ともいう。
このようなときは、商品を返送すればよいし、一定期間経過後であれば商品を処分してもよい。
(商品を受け取った日から14日間経過した場合、または引取りを請求してから7日経過した場合)ただし、期間経過前に商品を使用したり、消費した場合は、購入を承諾したものとみなされるので注意しなければならない。
請求書がしつこく送られてくる場合は、請求書の入った封筒を開封せず、「受領拒否」と朱書してポストに入れて送り返すとよい。

は行

破産

債務者が経済的に破綻して、その債務を完済することができない状態になった場合にあること。
また、そのような状態にある場合に、裁判所が債務者の財産を包括的に管理・換価して、総債権者に公平に配分することを目的として行われる法的手続。破産手続。

被告人

被告人とは、捜査機関によって犯罪の嫌疑を受け、検察官によって公訴提起され、その裁判が確定していない者のこと。

被疑者

被疑者とは、警察や検察庁に犯罪の疑いをかけられているものを言う。捜査機関による拘留中の被疑者の取調べは認められているが、強制的な取調べは拒でき、自分の意思に反して供述する義務もない。
被疑者が検察によって起訴されると、被告人といわれる。新聞やテレビではよく「容疑者」というが、正確には被疑者が正しい。

不当解雇

不当解雇(ふとうかいこ)とは、法律上・判例法理上の規定や就業規則・労働協約などの取り決めを守らずに使用者により行われた労働契約の解除行為を指す。
使用者は法律等に定められた要件を満たしていれば基本的に解雇ができるとされているが、使用者自体が法律や労働慣例に詳しくなかったり(過失)、悪意(故意)を持っているなどで、必要な要件を満たさないまま不当解雇を行なうこともある。

分別の利益

保証人が数人いる場合に、各保証人は、債権者に対して平等に分割した額についてだけ保証債務を負担する。

物上保証人

物上保証人とは、自己の財産をもって他人の債務の担保に提供した者をいう。
物上保証人は、自己の財産の上に担保物権を設定しただけの為、債務を負担したわけではないから借金を弁済する義務はない。すなわち物上保証人は責任のみを負担し、債務を負担しない。
しかし、主債務者が弁済できなければ抵当権が実行され、物上保証人の被担保物件(=物上保証人が設定した担保となっている資産)が失われることになり、物上保証人は抵当権の実行を受け入れるか、あるいは主債務者の借金を自ら弁済して抵当権を消滅させるかの選択をしなければならない。
物上保証人は、連帯保証人とは違い、主債務者が弁済できなくなった場合、担保として提供した財産を失うことはあっても、それ以上の責任を負うことはない。

偏頗行為(へんぱこうい)

偏頗行為とは、特定の債権者に対してのみ返済を行うことである。債権者平等の原則を害するものとして自己破産の免責不許可事由として定められている。

弁護士特約(弁護士費用特約)

自動車保険とは「自分が加害者」となった時に、被害者から請求の有った損害賠償金を保険会社が代わって支払ってくれるもの。
通事故で「被害者」となった際、もしくはお互いに過失がある場合の被害部分についての交渉は、保険会社は行うことができない。
このような場合、交渉は被害者自身で行わねばならず、示談交渉や裁判をしようとして弁護士に依頼すれば、その費用は全額自分で負担する必要が有る。
弁護士特約に入っていると、上記のような場合でも弁護士を雇う費用を補償してもらうことができる。
補償してもらえる金額などは、保険会社によって異なり、更に自分の身内に対しての損害賠償事故や法令違反(酒酔い・無免許など)については補償対象外となる。

弁護人

弁護人とは、刑事手続において被疑者または被告人が正当に権利を行使し、また正当な利益を保護するために自らの代理人として選任した弁護士など法律に精通した専門家などのことをいう。
刑事訴訟法は全ての被疑者・被告人に対し弁護人を選任する権利を保障している。
弁護人は原則として弁護士から選任しなければならないが、一定の場合においては弁護士以外の者を弁護人に選任することができる。また、弁護人は1人である必要はない。

保証

民法上に規定された契約としての保証(保証契約)のこと。
保証とは、主たる債務者が債務を履行しない場合に、代わりに履行する義務を負うことをいう。

保証人

保証人とは、主たる債務者がその債務を履行しない場合にその履行をなす債務(保証債務)を負う者をいう。保証人は、基本的にだれでもなることができる。
ただし、保証人は、資力のある一般成人(行為能力者)でなければならない。しかし、債権者が保証人を指定する場合には、未成年者等の制限能力者や、資力のない者でもよい。
保証人には以下の三つの権利があるが、連帯保証人にはない。
1. 催告の抗弁権
2. 検索の抗弁権
3. 分別の利益

補助人

家庭裁判所の補助開始の審判により補助人を付すとの審判を受けたものを被補助人、被補助人の行う法律行為を補助する者として選任された者を補助人とよぶ。補助は精神上の障害(認知症、知的障害、精神障害など)によって判断能力が不十分な者(本人)を対象としており、自己決定の尊重の観点から本人の申立て又は同意を審判の要件とする。
家庭裁判所は、本人のために補助人を選任し、補助人には当事者が申し立てた特定の法律行為について、代理権又は同意権(取消権)を与えることができる。

保佐人

家庭裁判所の保佐開始の審判により保佐人を付すとの審判を受けたものを被保佐人、保佐の事務を行う者として選任された者を保佐人とよぶ。保佐は精神上の障害(認知症、知的障害、精神障害など)によって判断能力が著しく不十分な者(本人)を対象としている。
家庭裁判所は、本人のために保佐人を選任し、さらに、保佐人に対して、当事者が申し立てた特定の法律行為について、代理権を与えることができる。また、保佐人又は本人は、本人が自ら行った重要な法律行為(借財、保証、不動産その他重要な財産の売買等)に関しては、取り消すことができる。

ま行

MBO(マネジメント・バイアウト)

正式には、マネジメント・バイアウト(MBO、Management Buyout、経営陣買収)という。 会社の経営陣が株主より自社の株式を譲り受けたり、あるいは会社の事業部門のトップが当該事業部門の事業譲渡を受けたりすることで、文字通りのオーナー経営者として独立する行為のことである。

や行

有権者

選挙権のある人(有権者)の中から、翌年の裁判員候補者となる人を毎年抽選で選ばれ、裁判所ごとに裁判員候補者名簿を作られ、さらに抽選でその事件の裁判員候補者が選ばれる。
候補者に選ばれた人には、裁判所に来てもらう日時等を通知され、裁判長から、事件との利害関係の有無、不公平な裁判をするおそれの有無、辞退希望の有無・理由などについて質問される。
裁判所は、候補者に裁判員になることができない理由があるかどうか、また辞退を認めるかどうかなどを考慮しつつ、最終的には抽選も交えて裁判員6人が選ばれる。

ら行

利息制限法

金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約及び賠償額の予定について、利息の最高限や賠償額予定の制限に関する基本原則を定めた法律。

利息

貸借した金銭などに対して、ある一定利率で、借りた側が貸した側に支払う対価のこと。利子ともいわれる。

労働条件

労働条件とは、労働者が使用者の下で働く際、労働者と使用者の間で取り決められた就労に関する条件のことである。
労働条件の具体的には、賃金(算定方法や支給日・支給方法)・就業時間・休息のほか、休日などがあり、具体的には、労働基準法・賃金の支払の確保等に関する法律・雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律などの法律が制定されている。

労務コンプライアンス

労務コンプライアンスとは、企業経営における労務管理面について関連諸法令に不適法な部分がないかどうかを調べて整備するものである。
コンプライアンス経営の中で、特に「労務管理」の分野のものが『労務コンプライアンス』と呼ばれており、昨今の「残業代不払い」「違法派遣」等の行政処分がきっかけとなり、重要性が高まってきている。

わ行

和解

当事者間の法律関係の争いについて、当事者が互いに譲歩し、争いを止めることで合意をすること。
大きく分けて、私法上の和解と裁判上の和解に分かれる。
■私法上の和解
裁判外の和解とも言われる。
和解契約が成立するためには、以下の要件を満たすことが必要である(民法695条)。
・当事者間に争いが存在すること
・当事者が互いに譲歩すること
・争いを解決する合意をすること
■裁判上の和解
裁判所が関与する和解のこと。
裁判上の和解が成立した場合は、和解の内容が和解調書に記載され、その記載内容は確定判決と同じ効力を持つ(民事訴訟法267条)。

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