相続・遺産分割のトラブル

相続が発生した際のお悩みがある方は、まずは弁護士にご相談ください。
親族が亡くなったとき、残された家族には悲しみに向き合う間もなく、遺産分割という現実的な課題が降りかかります。「誰が何を引き継ぐのか」「どのように手続きを進めるのか」——これらの問いに正面から向き合わなければならない場面は、誰にでも訪れ得ます。当コラムでは、遺産分割の基本的な仕組みから弁護士に相談するメリットまで、実際の裁判例も交えながら丁寧に解説します。

1 遺産分割とは

遺産分割とは、亡くなった方(被相続人)の財産を、法定相続人の間で分けるための手続きです。
対象となる遺産には、現預金・不動産・株式・自動車といったプラスの財産のほか、借金や未払いの税金などのマイナスの財産も含まれます。

民法上、相続が開始した時点で遺産は相続人全員の「共有」状態となります(民法898条)。そのため、誰かが単独で動かすことは原則としてできず、全員が合意のうえで正式に分割を確定させる必要があります。


円滑に分割を終わらせたい方へ

相続人全員が感情的な対立なく話し合いに臨める場合でも、手続きの複雑さや法的な不備が思わぬトラブルを招くことがあります。たとえば、不動産の評価額をどう算定するか、代償分割(不動産を一人が取得し、他の相続人に金銭を支払う方法)をどう設計するか、といった場面では、法的な知識と実務経験が不可欠です。

「円満に終わりたい」と思っているご家族ほど、早い段階で専門家に関与してもらうことで、思わぬ落とし穴を回避できます。実際に当法人でご相談いただく案件のなかには、「最初は仲良くやっていたが、不動産をどう分けるかで話が止まってしまった」というケースが少なくありません。土地や建物の評価は相続人によって見方が異なることが多く、弁護士が客観的な評価方法を提案することで協議を前進させることができます。


既にもめている方へ

相続をきっかけに家族関係が壊れるケースは決して珍しくありません。司法統計によると、家庭裁判所における遺産分割調停の申立件数は年間1万件を超えており、その背景には「特定の相続人だけが多くもらおうとしている」「生前に贈与を受けた相続人がいる」「親の介護をした分だけ多くもらいたい」といった複雑な事情が絡み合っています。

もめてしまった場合、感情的な直接交渉を続けることはむしろ関係を悪化させます。弁護士に依頼することで、法的な視点から冷静な交渉が可能になり、解決への道筋が見えてきます。「弁護士を立てると大げさではないか」と心配される方もいますが、弁護士の関与によって相手方が本格的な協議の場に着くようになるケースも多く、むしろ早期解決につながります。

2 遺産分割の進め方

遺産分割の手続きは、まず「遺言書があるかどうか」によって大きく方向性が変わります。


遺言書がある場合

遺言書は、被相続人の最終意思を反映した最も重要な書類です。遺言書が存在する場合には、原則としてその内容に従って遺産を分配します。ただし、注意が必要な点がいくつかあります。

遺言書がある場合の主な注意点
  1. 自筆証書遺言は家庭裁判所での「検認」手続が必要です(法務局保管制度を利用している場合を除く)。
  2. 遺言書の内容が遺留分(最低限保障された相続分)を侵害している場合、侵害された相続人は遺留分侵害額請求ができます。
  3. 遺言書の形式に不備がある場合、遺言そのものが無効になるリスクがあります。

判例上、公正証書遺言によって『全財産を特定の子に相続させる』とされていても、他の相続人は法律上保障された遺留分を当然に請求できるとされています。遺言書があっても、遺留分を考慮しない設計は法的紛争のリスクを残します。また、自筆証書遺言については、日付の記載漏れや押印漏れを理由に無効と判断された事案も複数存在します。遺言書の作成段階から弁護士に関与してもらうことが理想的です。


遺言書がない場合

遺言書がない場合には、相続人全員による「遺産分割協議」を行います。全員が合意に至れば「遺産分割協議書」を作成し、これをもとに各種名義変更や払い戻しの手続きを進めます。
協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てます。調停でも合意できない場合は「審判」に移行し、裁判官が法律に基づいて分割方法を決定します。

なお、「寄与分」(被相続人の事業に貢献した・療養看護を担った)や「特別受益」(生前に多額の贈与を受けた)といった事情が絡む場合には、協議はより複雑になります。また、相続税の申告期限(被相続人の死後10か月以内)との兼ね合いも重要です。遺産分割が確定しないまま期限を迎えると、小規模宅地の特例など税務上の優遇が受けられなくなるリスクがあり、弁護士と税理士が連携して早期対応することが求められます。

3 遺産分割を弁護士に相談するメリット

遺産分割の手続きは、一見すると「話し合いをまとめるだけ」に見えますが、実際には法律・税務・不動産評価など多岐にわたる専門知識が求められます。弁護士に依頼することには、具体的に以下のようなメリットがあります。

  • 相続財産の正確な把握と調査

    銀行口座・不動産登記・株式・生命保険など、見落としがちな財産を漏れなく調査します。

  • 法的根拠に基づく適切な主張

    「介護をした分だけ多くもらいたい」という希望を、寄与分として法的に主張できるよう組み立てます。

  • 遺産分割協議書の適正な作成

    後のトラブルを防ぐために、法的に有効な内容・形式で協議書を整えます。

  • 相手方との交渉代理

    感情的になりやすい相続人同士の交渉を、弁護士が代理人として冷静に行います。

  • 調停・審判への継続対応

    話し合いが決裂した場合、調停・審判の場でも一貫してサポートします。

  • 遺留分侵害額請求への対応

    遺言によって遺留分を侵害された場合、または請求を受けた場合の交渉・訴訟を担います。

一例として、相続人の一人が被相続人の死後に無断で銀行口座から預金を引き出していたケースがあります。こうした場合、不当利得返還請求や不法行為に基づく損害賠償請求が可能ですが、証拠の保全や請求額の算定には専門的な対応が必要です。弁護士が早期に介入することで、証拠が失われる前に保全措置を講じることができます。

また、相続人の中に認知症の方がいる場合には、成年後見制度との連携も必要になります。成年後見人が選任されなければ遺産分割協議自体が無効になるリスクがあり、弁護士がこうした手続きをワンストップで案内できることも大きなメリットです。

4 弁護士法人たいようが選ばれる理由

弁護士法人たいようは、中小企業の顧問弁護士業務を中心に、労務・M&A・紛争解決など幅広い分野で企業と個人を支援してきた法律事務所です。相続案件においても、豊富な実務経験と複数の弁護士によるチーム体制を強みとしています。

豊富な実務経験 代表弁護士をはじめ、20年以上のキャリアを持つ弁護士が在籍。遺産分割協議から調停・審判まで、幅広いフェーズに対応します。
チーム体制 経験年数の異なる弁護士が連携することで、迅速かつ多角的な対応が可能です。案件の性質に応じて最適な担当者を割り当てます。
事業承継への対応力 事業承継を伴う相続では、会社経営と個人の相続が複雑に絡み合います。法人顧問の豊富な経験が、ビジネス視点での整理に活きます。
明確な費用説明 相談前に費用の見通しを丁寧にご説明します。着手金・報酬の仕組みをご理解いただいたうえでご依頼いただけます。
迅速なレスポンス 相続手続きには期限を伴うものが多くあります。ご相談いただいた際には、速やかに対応方針をご案内します。

5 まずはお気軽にご相談ください

相続問題は、早期に専門家へ相談することが解決への最短経路です。「まだもめていないから大丈夫」という段階でのご相談も大歓迎です。弁護士法人たいようでは、初回のご相談から丁寧に状況をお伺いし、お客様にとって最善の解決策をともに考えます。

遺留分と遺留分侵害額請求でお困りの方は弁護士にご相談を

相続が発生したとき、亡くなった方(被相続人)の遺言書に「すべての財産を長男に相続させる」「愛人に全財産を遺贈する」などと書かれていた場合、他の相続人は何も受け取れないのでしょうか。実はそうではありません。一定の相続人には、遺言内容にかかわらず最低限の取り分が法律によって保障されています。それが「遺留分」です。

本コラムでは、遺留分の基本から遺留分侵害額請求の実務的な対応まで、弁護士の視点からわかりやすく解説します。

1 遺留分とは

遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人(配偶者・子・直系尊属)に認められた、相続財産に対する最低限の権利のことです。
被相続人がどのような遺言を残していたとしても、あるいは生前に多額の贈与をしていたとしても、遺留分権利者はこの権利を行使することができます。

民法が遺留分を認めた趣旨は、遺族の生活保障と、被相続人の財産形成に貢献してきた相続人の潜在的な持ち分を保護することにあります。
遺留分を侵害された相続人が取ることができる手段が「遺留分侵害額請求」です。
2019年(令和元年)7月1日施行の改正民法により、それまでの「遺留分減殺請求」から現行制度に変わりました。改正前は、遺留分を侵害された相続人が現物の財産(不動産の共有持分など)を取り戻す仕組みでしたが、改正後は金銭の支払いを求める請求権として整理されました。これにより、不動産が意図せず共有状態になる問題が解消され、実務上の処理がよりシンプルになっています。
なお、遺留分侵害額請求権には時効があります。遺留分権利者が「相続の開始」および「遺留分を侵害する贈与・遺贈があったこと」を知った時から1年、あるいは相続開始から10年が経過すると消滅します。気づいたときには時効が迫っていたというケースも少なくありませんので、早期の対応が重要です。

2 遺留分割合の例

遺留分の割合は、民法で次のように定められています。
まず、遺留分の総額(遺留分の基礎財産に対する割合)として、直系尊属のみが相続人である場合は3分の1、それ以外の場合は2分の1とされています。この総額を法定相続分に従って各相続人に割り振ります。具体例で確認しましょう。


例①配偶者と子2人が相続人の場合

法定相続分は配偶者2分の1、子はそれぞれ4分の1です。遺留分の総額は2分の1ですから、各自の遺留分は次のとおりです。

  • 配偶者:2分の1 × 2分の1 = 4分の1
  • 子(各自):4分の1 × 2分の1 = 8分の1

たとえば相続財産が6,000万円であれば、配偶者の遺留分は1,500万円、子それぞれの遺留分は750万円となります。


例②配偶者のみが相続人の場合

配偶者の遺留分は2分の1 × 2分の1 = 4分の1です。


例③子のみが相続人の場合(子が1人)

遺留分は2分の1 × 1 = 2分の1です。

なお、遺留分の計算の基礎となる財産(遺留分算定の基礎財産)には、相続開始時の積極財産に加えて、原則として相続開始前1年以内の贈与が加算されます。
さらに、相続人に対する贈与については、相続開始前10年以内の特別受益に当たる贈与も加算されるため、生前贈与が多い事案では計算が複雑になります。

3 遺留分侵害額請求をしたい方へ

「遺言書に自分の名前がない」「兄だけに全財産を渡すという遺言が出てきた」
このような状況に置かれた方は、遺留分侵害額請求を検討してください。


手順の概要

まず、相手方(遺贈や贈与を受けた人)に対して、内容証明郵便で遺留分侵害額請求の意思表示を行います。この通知自体に時効中断(更新)の効果がありますので、時効が迫っている場合は速やかに発送することが重要です。
その後、当事者間の交渉によって解決できる場合はそこで終了しますが、話し合いがまとまらない場合は家庭裁判所での調停、さらには訴訟へと移行します。


実際の運用例から

不動産を含む相続財産の評価については、相続開始時点の時価が基準となることが確立しており、バブル期に取得した不動産でも現在の市場価格で計算されます。また特別受益に該当するのか、死亡保険金が存在した場合の原則と例外のいずれに該当するのか、などは厳しく争われます。
交渉においては、「遺留分侵害額がいくらか」という計算自体が争点になることが多く、不動産の評価額や生前贈与の有無・時期について鑑定や資料収集が必要になる場合もあります。弁護士に依頼することで、こうした証拠収集と主張の構築を一体的に進めることができます。

4 遺留分侵害額請求をされた方へ

反対に、遺言や生前贈与によって財産を受け取ったところ、他の相続人から遺留分侵害額請求をされたというケースも多くあります。

まず確認すべきは、請求が法的に有効かどうかです。請求者が本当に遺留分権利者に当たるか(たとえば兄弟姉妹には遺留分がありません)、時効は完成していないか、計算の前提となる財産の範囲や評価額は正しいかといった点を精査する必要があります。

相手方の計算が過大である場合も少なくありません。たとえば、相続財産に含まれないはずの財産が算入されていたり、すでに特別受益として考慮すべき受取分が計算から漏れていたりするケースです。一方的に請求額を受け入れるのではなく、専門家のチェックを受けることが重要です。

また、遺留分侵害額は金銭での支払いが原則ですが、支払いが一時に困難な場合、裁判所に対して支払猶予の申し立てができます(民法1047条5項)。不動産や非上場株式など、すぐに現金化できない資産を相続している場合には、この制度の活用も選択肢の一つです。

5 遺留分侵害額請求で
弁護士に相談するメリット

遺留分に関するトラブルは、感情的な対立を伴いやすく、かつ法的・財務的に複雑な問題が絡み合います。
弁護士に相談・依頼することで、以下のようなメリットがあります。

  1. 正確な遺留分侵害額の算定

    遺留分の計算は、相続財産の範囲の確定、生前贈与の調査、不動産・非上場株式などの評価など、多角的な作業を要します。弁護士は法的観点から正確な計算を行い、過大な請求への対抗や、逆に請求漏れの防止に役立ちます。

  2. 証拠収集のサポート

    被相続人が生前に行った贈与の証拠(銀行取引履歴、登記簿謄本など)を収集・分析するうえで、弁護士のノウハウが活きます。相手方が資産を隠している疑いがある場合も、法的手段を通じた調査が可能です。

  3. 交渉・調停・訴訟の一貫したサポート

    内容証明郵便の発送から始まり、任意交渉、家庭裁判所での調停、地方裁判所での訴訟まで、手続きの各段階で適切な対応をとることができます。特に調停や訴訟では、法的主張の構築と証拠の整理が勝敗を左右します。

  4. 感情的対立の緩衝役

    相続問題は家族間の感情的なもつれを伴うことが多く、当事者同士が直接交渉すると関係が修復不能なほど悪化するケースもあります。弁護士が間に入ることで、冷静かつ合理的な解決が図りやすくなります。

6 弁護士法人たいようが選ばれる理由

弁護士法人たいようは、愛媛県松山市と大洲市に事務所を構え、地域の皆様の法律問題に長年にわたって取り組んでまいりました。相続・遺言分野においても、遺留分侵害額請求の交渉・調停・訴訟を数多く手がけた実績があります。


地域密着の体制

松山・大洲の2拠点により、県内各地からのご相談に対応しています。お仕事の都合や交通事情に合わせて、相談先をお選びいただけます。


経験豊富な弁護士チーム

代表弁護士をはじめ、ベテランから若手まで複数の弁護士が在籍し、案件の性質に応じたチーム対応が可能です。相続・遺言問題は財産規模や家族構成によって最適な戦略が異なりますが、豊富な経験から依頼者の状況に合ったアドバイスを提供します。


中小企業・個人事業主の相続にも対応

経営者の相続では、自社株の評価や事業承継との関係で遺留分問題が複雑化することがあります。企業法務にも精通した当法人だからこそ、事業と家族の両面からの対応が可能です。


初回相談のご案内

遺留分問題は時効が短く、早期対応が重要です。「自分に遺留分があるかどうかわからない」「請求されたがどう対処すればよいか」といった段階からお気軽にご相談ください。

遺留分侵害額請求は、正しい知識と迅速な行動が解決の鍵を握ります。一人で悩まず、まずは弁護士法人たいようにご相談ください。