業務内容:機密保持
機密保持~機密漏洩防止の対策や漏洩した場合の迅速な対処を。
たいようの考え方

企業の価値を維持するためには、「機密保持」・「企業秘密」の対策が不可欠

機密保持企業の価値については、その企業の保有する資産だけではなく、その企業独自のノウハウ・技術も評価の対象となります。
そこで企業がその価値を維持するためには、ノウハウ・技術といった「機密」を保持し、「企業秘密」の漏洩を防ぐことが求められます。
そのため、「機密保持」・「企業秘密」という言葉がよく使われています。
 
しかし、実際には、「機密保持」・「企業秘密」が十分に図られずに、他社に漏洩し、そのことで企業価値が下落したり、また漏洩した事実そのものによって企業の評価を下げてしまったところは少なくありません
企業の価値を維持するためには、「機密保持」・「企業秘密」の対策が不可欠です。
 
これからいかにして「機密保持」を図り、「企業秘密」の漏洩を防ぐか、その対策・方法についてご説明いたします。

ご相談事例:1

【機密保持について】
当社は、精密機械の開発・製造をしています。
部品の製造を他の業者(A社)に委託することを考えているのですが、そのためには、当社の製造技術情報の一部を開示する必要があります。
A社から他社に情報が漏れないようにするには、どうすれば良いでしょうか?

委託先のA社から情報が漏れないように、同社の役員・従業員等を監視することは、不可能です。
したがって、「絶対に阻止する方法」は存在しません。
企業秘密を委託先に開示した場合には、情報漏洩の危険があることは常に認識しなければなりません。
ただ、情報開示時ないし開示後に次のような措置を講じておくことにより、情報漏洩の危険や、仮に情報漏洩が起きた場合の損害を最小限に抑えることができます。

開示する企業秘密の範囲、対象者の限定

部品の製造を委託するのに必要最小限な企業秘密は何かを十分に検証し、その限りにおいて情報を開示することにします。
また、委託先に対して、役員にのみ開示すればよいのか、現実に部品製造を行う従業員に対して開示するのか、委託先との協議で開示する対象者の範囲を必要最小限に限定しておく必要があります。

機密保持契約書作成

機密保持契約書については、例として以下の内容のものを作成を行います。

(1)機密情報の特定
ある情報が機密情報に該当するか否かをめぐって紛争が生じるのを防ぐべく、機密情報を、文書で表示した情報に限定します。
重要なのは、以下を具体的に決めておくことにより、機密情報に該当するか否かの判断が一義的にできるようにしておくことです。
  • 機密情報であることを指定する
  • 機密情報であることを表示する方法 等
(2)機密保持契約書を交わした事実
機密情報の他、機密保持契約を締結した事実自体についても機密保持義務の対象とすることをお勧めします。

機密保持契約書を交わしたという事実から、
A社に対して企業秘密が開示されたことが外部に知れることになるので、 第三者によるA社への働きかけを誘発するおそれがあるからです。


 

 
(3)委託先・委託先従業員間の機密保持契約書の徴収
機密情報を開示する際、委託先従業員のうち、本件業務を現に遂行する従業員のみに開示するなど、開示対象者は必要最小限にします。また、委託先と委託先従業員間で、機密保持義務契約を締結させることが必要です。
その担保として、委託先と委託先従業員間の機密保持契約書の写しの交付を受けるという方法があります。
(4)機密保持期間
たとえ現在機密性の高い事項であっても、将来一般的に秘密でなくなることも考えられますので、相手方に対して無期限の機密保持義務を課すことは相当ではありません。
そこで、御社の機密情報の内容に応じ、機密保持義務の期間を一定の相当期間内に限定するのが通常です。
 

 
(5)損害賠償
機密情報を漏洩したときの賠償責任を明示しておくことにより、相手方に対する心理的プレッシャーを課すことができます。ただ実際に機密情報が漏洩されてしまったときに、漏洩により御社が実際に被った損害額を立証するのは非常に困難です。
そこで、可能であれば、損害賠償額の予定とし、漏洩をしたときの損害賠償額(あるいは、損害賠償額を具体的に算定できるような具体的計算方法)を予め契約に記載しておくことが望ましいでしょう。
(6)再委託
機密情報の漏洩防止という観点からは、機密情報の開示対象者はできる限り少ない方がよいので、
御社の事前の許諾がない限り、委託業務を第三者に委託することは禁止するべきです。

もっとも、再委託がどうしても必要な場合には、委託先・再委託先間で機密保持義務契約を締結させることが必要です。

 

 
上記は、あくまでもひとつの例です。個々の会社ごとに、機密として守りたい情報の種類、量は異なります。
守るべき考案やノウハウ等の情報が明確で限定されているような場合には、当該対象を具体的に機密保持契約書の中に例示することにより、より保護されるべき機密情報の範囲が明確になるでしょう。

本当に会社のニーズに即した契約書となっているかについて、契約締結前に一度弁護士のチェックを受けることをお勧めします。

ご相談事例:2

【企業秘密が漏洩したら】
当社は、精密機械の開発・製造をしています。部品の製造を他の業者(B社)に委託していたのですが、B社から他社に企業秘密としていた製造技術情報を漏洩されてしまいました。
どのような措置を採れば良いでしょうか?

企業秘密を取引先に漏洩されてしまった場合、次のような措置を取ることができます。

(1)民事上の措置

不正競争防止法や機密保持契約違反を根拠に、委託先に対して損害賠償請求や差止・除去請求をしていくことになります。
 
(1)差止請求・除去請求
冒頭の事例において、製造技術情報をB社が第三者であるC社に交付すべく御社の技術情報が記載された機密資料を無断で複製したような場合、当該複製物をC社に交付することをやめさせる必要があります(差止請求)。
また、B社が不正に複製して保管している複製物について、破棄を求める必要もあるでしょう(除去請求)。
この点、不正競争防止法は、営業秘密を侵害された者の救済手段として、差止請求(同法第3条第1項)
及び除去請求(同法第3条第2項)を設けています。
しかしながら、同法により救済されるためには、同法の規定する「営業秘密」(同法第2条第6項)の要件や「不正競争」(同法第2条第1項)の要件を充たさなければなりません。
これらの要件を充たすには厳格な情報管理等が必要であり、同法による保護が適用されるケースはあまり多くはありません。
そこで、そのような場合に備え、秘密保持契約書の中に、差止請求ないし除去請求を可能とする条項を入れておくことをお勧めします。
 
(2)損害賠償請求
冒頭の事例において、B社が御社の機密情報を第三者であるC社に漏洩し、これによりC社が当該機密情報を使用してロボットを開発し、販売等した場合、御社としては、当該C社のロボットの出現により御社のロボットの販売部数が減少し、得られるべき利益が得られなくなったとして、損害賠償をすることとなります。
上記B社の行為は、御社とB社間との機密保持契約に違反しますので、御社は当該契約の債務不履行に基づく損害賠償請求(民法第415条)を行うことができます。

 
(2)刑事上の措置

不正競争防止法で規定する類型の営業秘密にかかる不正競争行為を行った者に対しては、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはこれを併科するとする刑罰も定められています。
この場合には、民事上の請求と併せ、委託先に対して刑事告訴を行うこともできます。
個別の案件については、弁護士にご相談ください。
 

上記の情報は当事務所に寄せられたご相談の中から、事例としてお役に立てる情報を公開しております。

案件にはそれぞれの事情があり、回答や解決方法が異なる場合も多々ございますので、当サイトの情報はあくまでも参考としていただき、弁護士にご相談いただくことをお薦めいたします。

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